research

代表的な業績 (Selected Bibliography)

  • 一次繊毛 (Primary cilia) の構造と機能
    1. Narita, K.,Kawate,T., Kakinuma, N. and Takeda, S. Multiple primary cilia modulate the fluid transcytosis in choroid plexus epithelium. Traffic, 11, 287-301. 2010.
      一次繊毛の機能的な解析を行った論文である。繊毛形成不全による水頭症の原因の一部を解明したのと同時に脳脊髄液産生の分子機構に新たなモデルを提唱した。この論文は表紙に採用された。
    2. Yoshimura, K., Kawate, T. and Takeda, S. Signaling via primary cilium affects glial cell survival under the stressed environment. Glia. 59, 333-344. 2011.
      神経膠細胞の一次繊毛がヘッジホッグ (Hh) シグナルを通じて細胞の生死を調節していることを明らかにした。神経膠細胞の一次繊毛を通じた神経機能の解析とHhシグナル伝達研究に新たな視座を与える。
    3. Yoshimura, K. and Takeda, S. Hedgehog signaling regulates the myelination of peripheral nerve axons through the primary cilia.Differentiation. 83, S178-185. 2012.
      Kif3のhypomorph mutantで見られた末梢神経障害の原因を一部解明した仕事である。Schwann細胞の一次繊毛がHhシグナルを通じて髄鞘形成を行っていることを明らかにした。
    4. Narita, K., Kozuka-Hata, H., Nonami, Y., Ao-Kondo, H., Suzuki, T., Nakamura, H., Yamakawa, K., Oyama, M., Inoue, T. and Takeda, S. Proteomic analysis of multiple primary cilia reveals a novel mode of ciliary development in mammals. Biology Open. 1, 815-25. 2012.
      精製が難しい一次繊毛のプロテオーム解析を行なったものである。構成分子をカタログ化したのみならず、脈絡叢上皮細胞の一次繊毛が個体発生と共にどの様にその動態や構造を変化させるかという観点からも解析を行なった。今後の研究展開のシーズになる事が期待される。
  • 医工融合研究 (Interdisciplinary Research of Medicine and Engineering)
    1. Yoshimura, K., Chen, C.L., Asakawa, D., Hiraoka, K. and Takeda, S.  Direct estimation of droplet volume adhered to the tip of PESI needle. Journal of Mass Spectrometry, 44, 978-985, 2009.
      PESIに依って捕縛される試料の量が数百fLから数pLである事を示した論文。極めて基礎的な論文であるが、PESIの今後の応用展開に欠くことが出来ない重要な論文である。
    2. Narita, K., Hisamoato N., Okuda,T. and Takeda, S. Differential neuroprotective activity of two different grape seed extracts.  PLoS One. 6, e14575. doi:10.1371. 2011.
      ブドウ種子や果皮がグルタミン酸に依る神経細胞の過興奮死を抑制する事を示した論文であり、質量分析法を用いて本学ワイン研究センターと共同研究を行った。
    3. Yoshimura, K., Chen, LL., Yu, Z., Hiraoka, K. and Takeda, S. Real time analysis of living animals by electrospray ionization mass spectrometry. Analytical Biochemistry. 417, 195-201. 2011.
      生きたままのマウスを麻酔下で開腹し、その肝臓をPESIで解析した論文で、脂肪肝の診断に成功した。PESIを医療応用して行く上でマイルストーンとなる重要な論文である。
    4. Yoshimura, K., Chen, LC., Nakazawa, T., Mandal, MK., Yu, Z., Uchiyama, T., Hori, H., Tanabe, K., Kubota, T., Fujii, H., Katoh, R., Hiraoka, K. and Takeda, S. Analysis of renal cell carcinoma as a first step for mass spectrometry-based diagnostics. Journal of the American Society for Mass Spectrometry. 23, 1741-9. 2012.
      現在開発中のがん診断支援装置の性能をヒトのがん検体を用いて解析した論文。通常の多変量解析の限界を示し、次の方向性を提示した。
  • からだの左右決定機構の解明
    1. Nonaka, S., Tanaka, Y., Okada, Y., Takeda, S. Harada, A., Kanai, Y., Kido, M. and Hirokawa, N.  Randomization of left-right asymmetry due to loss of nodal cilia generating leftward flow of extraembryonic fluid in mice lacking KIF3B motor protein. Cell. 95, 829-37, 1998.
      分子モータであるKif3B (kinesin superfamily 3B) がノード流を通じてからだの左右を決定している事を初めて明らかにした歴史的な論文である。一次繊毛の研究分野はこの仕事をきっかけにして世界各地で発展した。
    2. Takeda, S. Yonekawa, Y., Tanaka, Y., Okada, Y., Nonaka, S. and Hirokawa, N. Left-right asymmetry and kinesin superfamily protein KIF3A: New insights in determination of laterality and mesoderm induction by kif3A-/- mice analysis.  Journal of Cell Biology. 145, 825-36, 1999.
      Kif3Aがからだの左右決定機構に関係している事を示した論文で、繊毛形成にはKIF3が関係している事、ノックアウトでは水頭症が起こる事、Hhシグナル伝達に異常が見られる事を初めて報告し、現在の一次繊毛研究の基盤を形成した。
    3. Okada, Y., Takeda, S., Tanaka, Y., Belmonte, J-C. I. and Hirokawa, N. Mechanism of Nodal Flow:A Conserved Symmetry Breaking Event in Left-Right Axis Determination. Cell, 121, 633-644, 2005.
      ノード流がどの様にして左向きの流れを作るのかを様々な方法論を用いて証明した労作である。また、ノード流が他の哺乳類や魚類でも保存された左右決定機構である事を示した重要な論文である。
  • 軸索輸送 (Axonal Transport) の分子機構
    1. Takeda, S., Okabe, S., Funakoshi, T. and Hirokawa, N. Differential dynamics of neurofilament-H protein and neurofilament-L protein in neurons. Journal of Cell Biology. 127, 173-85, 1994.
      神経細胞の細胞骨格であるニューロフィラメントがサブユットに依って異なる動態を示す事を明らかにした。現在の様に強い蛍光色素、安定な顕微鏡システムがない大学院生時代の労作。
    2. Takeda, S., Funakoshi, T., and Hirokawa, N. Tubulin dynamics in neuronal axons of living zebrafish embryos.  Neuron. 14, 1257-64, 1995.
      生きたままのゼブラフィッシュ胚で軸索輸送を解析した仕事で、現在とは異なる手作りの顕微鏡システムで行った。生きた個体での軸索輸送の画像解析は当時非常に重要かつ困難な課題で、世界で初めての成功例であった。
    3. Funakoshi, T., Takeda, S. and Hirokawa, N.  Active transport of photoactivated tubulin molecules in growing axons revealed by a new electron microscopic analysis. Journal of Cell Biology. 133, 1347-53, 1996.
      微小管の厚生蛋白質分子であるチュブリンの軸索輸送での輸送形態が、ポリマーではなくオリゴマーである事をFDAP (Fluorescence Decay After Photoactivation) と免疫電顕を用いて解析した。基礎的であるが精緻な解析を行った重要な論文。
    4. Takeda, S., Yamazaki, H., Seog, D., Kanai, Y., Terada, S. and Hirokawa, N. KIF3 motor transports fodrin-associating vesicles important for neurite building. Journal of Cell Biology. 148, 1255-66, 2000.
      KIF3の神経細胞での機能を解析した論文で、Fodrinが一種のアダプター分子になっている事を明らかにした論文。ノックアウトマウスで果たせなかった解析を、培養系を用いて行った。
  • 総説、著書
    1. Hirokawa, N., Terada, S., Funakoshi, T. and Takeda, S. Slow axonal transport: the subunit transport model. Trends in Cell Biology. 7, 384-88, 1997.
      当時軸索輸送の研究で論争が行われていた"Polymer Sliding Hypothesis"と"Subunit Transport Hypothesis" を説明した総説。4人がかなり力を入れて書いた力作である。
    2. Hirokawa, N. and Takeda, S.  Gene targeting studies begin to reveal the function of neurofilament proteins. Journal of Cell Biology. 143, 1-4, 1998.
      ニューロフィラメント (NF) 研究の全盛期が終わり近づいた頃次々に出版されたNFノックアウトマウスの解析結果を中心にNFの機能を考察した総説。ノックアウトという方法論の限界にも言及した。
    3. Hirokawa, N., Tanaka, Y., Okada, Y. and Takeda, S. Nodal Flow and the Generation of Left-Right Asymmetry. Cell. 125, 33-45. 2006.
      からだの左右決定機構研究の総決算として纏めた力作。2005年当時の最新の結果が提示された総説で山梨大学への赴任前の忙しい時期に執筆に加わった。時間を作ってFigure用の電顕写真を取り直したりとやり甲斐があった総説。
    4. Takeda, S. and Narita, Categories of cilia: Structure and function of vertebrate cilia; towards new taxonomy. Differentiation. 83, S4-11. 2012.
      国際分化学会の機関誌であるDifferentiation誌が創刊40周年を記念して刊行する「一次繊毛特集号」にGuest Editorとしての仕事もこなしながら寄稿した。繊毛の新たな分類を提唱し、繊毛の進化を論じながらそのプロトタイプに関して考察した。
    5. 竹田 扇:1. 実験医学からみた生命倫理の展望 -遺伝子技術のもたらした課題- I. 先端医療とバイオエシックス、『バイオエシックスの展望』 坂井昭宏・松岡悦子(編)  (分担執筆)  5-35頁  2004   東信堂 東京
      医学科の学生時代から趣味的に行っている人文科学の研究である。恩師の退官記念論文集として出版する事になったものだが、私の分だけ編集ミスで註が抜けてしまい、学術論文としての体裁が整っていない。現在のバイオエシックス研究に繋がるきっかけともなった個人的には重要な論文。
    6. 竹田 扇: 「はじめに」、第II部 第1章 中曽根康弘、第3章 今堀和友、第7章 小川秀道. 『生命倫理の源流:戦後日本社会とバイオエシックス』 香川知晶、小松美彦 (編) 2014 岩波書店 東京
      バイオエシックスの科研費研究会 (2008年から2011年、小松美彦代表) の総括としてこの本が出版された。第II部で中曽根康弘、今堀和友、小川秀道各氏担当のリエゾンパーソンとして質問票の作成、インタビュー、その記録の要約•編集を担当し、「はじめに」を執筆した。各界の重鎮とのバイオエシックスを巡る対話は貴重な体験だった。