研究内容紹介

線毛の構造と機能の研究(線毛の形成メカニズム)

本講座のメインテーマは「一次線毛の構造と機能の研究」である。現在一次線毛に関して、神経細胞と腹膜中皮細胞の双方で研究を開始したところであ る。前任地ではこれ迄、神経細胞の細胞内輸送の分子メカニズムについて研究を行ってきた。「細胞内輸送系」とは、微小管やマイクロフィラメント で構成される細胞骨格上をATPase 活性のあるモーター蛋白質(キネシンなど) が動く事により物質が運搬されるシステムを指す。このシステムでのモ ーター蛋白質の機能を個体レベルで調べる為にキネシンの一つであるKIF3 のnull mutant を作成すると体の左右軸がランダムになる事を見いだし (Nonaka et al., 1998; Takeda et al., 1999)、その原因として通常なら発生中期に形成されるはずの原始結節(ノード)の一次線毛が欠失する為である 事を明らかにした。また、KIF3 のinsertional mutant を作成すると、様々な臓器に広く変性を起こす事がわかっており、現在これを纏めて投稿中であ る(Takeda et al., submitted)。これらの組織での異常が主に一次線毛の機能と密接に関係している事から、一次線毛形成機構と疾患との関係をより広 い視野で検討しようと試みたのが本テーマにいたる経緯である。また、ここでは疾患メカニズムを解明するのと同時に「異常(病気) から正常を探る」 試みも行い一次線毛に関する細胞生物学的知見を広げる事にも貢献したい。


senmou1.jpg( 図) 従来型線毛[9+2] と 一次線毛[9+0] の電顕写真