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ライフサイエンス特進コース(沿革と本教室との関係)

 現在山梨大学医学科の正規教育課程として認知されている「ライフサイエンス特進コース」は2006年にその基盤が形成されました。同年1月に本学に着任した竹田が、前任地から構想していた医学科学生向けの研究入門コースを立ち上げる事を企画し、久保田健夫教授 (環境遺伝医学)、平敬宏教授 (現在東邦大学) 、中尾篤人教授 (免疫学)、範江林教授 (分子病理学) の4名とともに学内戦略的プロジェクトに 「医学科MD研究コース開設に関する試案」を申請し、採択されました。当時の学長であった貫井英明先生から「他にも類似した取り組みを行なっている教室があるので一緒にやってはどうか」というアドヴァイスを受け、基礎系6講座でスタートしたのが本コースの始まりとなります。
 創設にあたっての理念は「学生の自律的な研究活動を積極的に応援し、将来どの分野に進んでも他の医師とは異なった独自の視座を持ち、独創的な活動が出来る医師を育てる」というものでした。勿論、その学生が研究者の道を選択すれば大変結構ではあるが、それぞれが選択した研究者以外の進路で独自の活躍ができる様な基盤を形成することを「目的」としたものであり、本コースは飽く迄もその目的を達成する為の「手段」であるという位置づけであります。従って、良くも悪くも緩やかなシステムであり、「縛り」は殆どありませんでした。
 ところで研究活動は地味で、単調な作業の繰り返しが続く事もあります。生命現象はやたらと変数が多い上、その揺らぎの幅も大きく、統計的手段に依る客観性の担保や、再現性の獲得が要請されるからです。従ってこのような「緩やかなシステム」下では、途中でモチベーションを失って脱落する学生諸君もいますし、一時的に実験を中断してしまうものもいます。しかしながら自らよく考え、メンターに相談し、問題を解決する能力とやる気のある学生は必ず復帰して学会発表をこなしたり、論文を書いたりしています。本コースはその様な機会と場を提供するものであって、このコースに入ったからといって必ずしも研究者になれることを保証するものではありません。別の見方をすれば、学部学生時代にこの様な経験を積むことによって前述の創設の理念に近づくことができるようになります。そうすると卒業後どの様な分野に進んでも、自らの視点と哲学に基づいて独自の活躍が可能となることが期待できるのです。